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就業規則の基本条文を、労働基準法・民法等の関連法律条文とともに各条毎に詳細解説!これを読めば就業規則がまるっと分かります。
条文例
解説第12条では、出向について定めています。 ”出向”とは、出向元とは何らかの労働関係を保ちながら、出向先との間において新たな労働契約関係に基づき相当期間継続的に勤務する形態を指します。このうち、出向元との労働契約関係を維持したまま行う出向を「在籍型出向(在籍出向)」と、出向元との労働契約関係を終了させて出向を「移籍型出向(転籍出向)」といいます。(昭61.6.6基発333号)本条ではこのうちの「在籍出向」についての取扱いを定めています。(以下、本条の解説では、在籍出向を単に「出向」といいます。) 第11条の配置転換・転勤など人事異動と異なり、従業員への出向命令は「出向先との間において新たな労働契約関係を生じさせる」という法律上の効力を持ちます。このため、民法625条第1項との関係から、出向命令を行う場合には、労働者の承諾(同意)が必要とされ、通常の人事異動の手続きより厳重な手続きが必要となります。 在籍出向に対する労働者の同意については、原則として就業規則や労働協約上へ明記することによる「包括的同意」で足りるとされています。これは、「出向中も出向元との労働契約関係が継続している」「労働条件に大きな変動を及ぼさない」「出向終了時には出向元の業務に復する」ということが前提となっているためです。すなわち、これらの条件のいずれかが満たされない場合(転籍、労働条件の終了、いわゆる「片道切符」の出向)の場合には、労働者個別の同意が必要とされています。 ここで注意しなければならないのが、「包括的同意」が認められるかどうかの判断です。最近の判例では、単に就業規則上で「出向を命ずることがある」と定めているのみでは、出向に関して「包括的同意」が行われているとはいえないという判例が多く、出向義務、出向先の範囲、出向中の労働条件、出向期間等を具体的に定めることが必要とされています。このため、従業員に出向を命ずる可能性がある場合には、就業規則上や社内規定でこれらのことを明らかにすることが必要です。 この例では、まず、第1項と第2項にて「出向先の範囲」と「出向期間」を明らかにしています。第1項では、出向先として完全子会社(出資比率が100%である子会社)を挙げています。完全子会社の場合には、親会社の完全な経営支配が及んでおり、実態として「社内の一部門」と同等の取扱いをされるケースが大変多く見られます。この例では、完全子会社を「社内の一部門」と同等に捉えていることを前提として、第11条に定める社内の人事異動と同様の定めを行っています。 一方、第2項では、完全子会社以外の会社・団体への出向について定めています。完全子会社以外の会社・団体については(1)子会社、(2)関連会社、(3)子会社・関連会社でないが、業務上のつながりが深い会社(下請、業務提携先等)、(4)加盟する業界団体 等に対して出向が行われる場合が多く見られますが、これらの場合には、勤務形態や労働条件などが幾分異なることが予想され、「社内の一部門への異動」と同等に捉えることは難しいと考えられます。また、出向の目的も出向先の業務への支援を前提としていることが多いものと予想されます。この例では、出向の目的を「出向先の業務への支援」を前提とし、出向の期限を「3年」としています。なお、ここでは出向終了後には出向元である当社へ復帰することを前提としています。 そして、第3項にて「社員(≠従業員)」に対して出向義務を課すこと、第4項にて出向中の労働条件の定めについて明らかにしています。また、出向期間中は密接に関連した複数の労働契約関係が同時に成立することになりますので、その間の就業規則の適用や法律上の義務責任の所在を整理することが求められます。この例では、第5項にてその手続きを定めています。 なお、出向と同様の労働関係にあるものとして「派遣」があります。派遣においても、派遣労働者の労働契約関係は派遣元と、指揮命令関係は派遣先と結ばれていますが、派遣の場合には、「派遣元が労働者の派遣行為そのものを業として行う(=労働者派遣を収益の目的として、派遣元と派遣先の間で労働者派遣契約を締結する)」点において、出向と異なります。出向の場合にも、出向者の人件費相当額を出向先から出向元へ支払う場合が多くありますが、これはあくまでも「出向者への給与を負担する」ということであり、出向者の人件費相当額以上の支払いを行うことは予定されていません。人件費以上の支払いを行ってしまうと、常用型労働者派遣を行っていると解釈されたり、税法上の不利益を被る可能性があるため注意が必要です。 出向の取扱いについては、労働トラブルになるケースが多いポイントです。その多くが、「出向の可能性があることを従業員が予想していない/予想していた出向内容と違う」ことに起因しています。無用な労働トラブルを避けるためには、出向の有無や条件はもちろん、出向の目的・業務上の必要性のなどを従業員に理解させることが必要です。「論理的にきちんと説明できるだけの意思と判断基準を持つこと」がトラブル回避の第一歩となります。 検討のポイント
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