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就業規則の基本条文を、労働基準法・民法等の関連法律条文とともに各条毎に詳細解説!これを読めば就業規則がまるっと分かります。
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[人事第8条(試用期間)

条文例



第8条 新たに採用した者については、採用の日から3ヶ月間を試用期間とする。ただし、会社が適当と認めるときは、この期間を短縮し、又は設けないことがある。
2 試用期間中及び試用期間終了時においては、第○条第1項各号に定める解雇事由に該当する場合のほか、下記のいずれかに該当するに至った場合解雇することがある。
(1)本人の責に帰すべき事由により、試用期間中の遅刻が3回に及ぶ場合
(2)本人の責に帰すべき事由により、試用期間中の欠勤が3日に及ぶ場合
(3)勤務成績又は業務能率が不良で、採用時の業務において就業に適さないと認められたとき
(4)その他前各号に準する場合と判断される場合
3 試用期間中及び試用期間終了時の解雇は、即時解雇を行う。ただし、最初の勤務日より起算して14日を超えて引き続き雇用されるに至った場合においては、労働基準監督署長より解雇予告除外認定を受けた場合を除き、 平均賃金の30日分の解雇予告手当を支払う。
4 試用期間は、勤続年数に通算する。


解説


 第8条では、採用後の試用期間と、試用期間中の身分・労働条件等について明記しています。
 
 「試用期間」とは、本採用決定前の試験的な使用期間を言います。従業員の採用にあたって、採用から一定期間の試用期間を設け、その間に勤務態度や能力、技能、性格などをを見極めて正式に採用するか否かを決定します。
 
 試用期間中は、通常に比較して使用側である経営者に解雇権が広範に留保されています。ただし、最高裁判決にて、試用期間中の留保された解雇権の行使について「解約権の行使は、上述した解約権留保の趣旨、目的に照らして、客観的に合理的な理由が存在し、社会通念上相当であるものと解するのが相当である(大法廷判決 昭43年(オ)第933号 三菱樹脂事件)」とされており、たとえ試用期間中の解雇であっても、一定の合理的な理由が必要と解されています。

 試用期間を定めるか否か、また試用期間とする期間の長さについては、会社の選択に委ねられています。(一般的には1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月程度の試用期間を設けられています)。また、採用の形態(新卒と中途など)によって試用期間の長さを変えることも可能です。この例では、第1項にて原則として3ヶ月の試用期間を定め、状況に応じて短縮したり、試用期間を設けないことが可能となるように定めています。ただし、会社の選択に委ねられるとはいっても、試用期間中の労働者は不安定な地位にあることから、合理的な範囲を超えた長期の試用期間の定めは、公序良俗に反し、その限りにおいて無効とされます。例えば、「6〜9ヶ月の見習社員としての試用期間ののち、試験を経て試用社員に登用し、さらに試用社員について6〜12ヶ月の試用期間を設けることは合理性の範囲を超えており、試用社員についての解雇権留保の特約は無効である(名古屋地裁判決 昭50年(ヨ)第1092号 ブラザー工業事件)」とした裁判例があります。

 なお、「原則的な期間より試用期間を伸ばす定め」については、労働条件を就業規則より不利に変更することを可能とする条項と解釈とされる可能性があります。この場合、労働基準法第93条より、このような定めは無効とされる場合がありますので、注意が必要です。(ただし、試用期間終了後、一定の条件下で限定された範囲内で試用期間を延長する定めは可能であると考えられます。「他の参考例」参照。)
 
第2項及び第3項では、試用期間中の解雇について定めています。先に述べたとおり、試用期間中の解雇は通常より幅広い解雇事由を定めることができますが、解雇手続きについては原則として通常の従業員と同様の解雇予告手続きをとる必要があります(解雇予告手続きについては、解雇関連条項にて詳しく解説します)。ただし、労働基準法第21条において、「試の使用期間中」であって「引き続き雇用された期間が14日以内」の場合に限っては、解雇予告の手続きが除外され、即時解雇が可能とされています。

 また、本例にはありませんが、試用期間中の賃金その他の労働条件については、通常より低く定めることが可能と解釈されています(増補版労働基準法 上より)。この場合も、労働基準法をはじめとした各種法令に違反する場合や、公序良俗に照らし合理性を欠く場合には、その範囲で無効とされます。また、試用期間中の労働条件を通常と異なるように定める場合には、その旨を就業規則中に明記することが必要です。

 「試用期間」についてまとめると、次の通りです。


  • 試用期間とは、「勤務態度や能力、技能、性格などをを見極めるためにの試験的雇用期間」

  • 試用期間中は、通常より広範な解雇権が留保されている。

  • 試用期間の長さは、公序良俗に反しない限りにおいて、会社の選択に委ねられる。

  • 試用期間中の労働条件は、一定の範囲で通常の従業員より低くすることも可能。

  • 試用期間中の解雇は、通常の解雇予告手続きを経る必要がある。ただし、引き続き雇用された期間が14日以内の場合はこの限りでない。



他の参考例



第8条 新たに採用した者については、採用の日から3ヶ月間を試用期間とする。ただし、会社が適当と認めるときは、この期間を短縮し、又は設けないことがある。
2 試用期間終了時において、勤務態度や能力、技能等が就業に適さない可能性があると認められたときは、試用期間中にさらに3ヶ月間を限度として、1回に限り試用期間を延長する場合がある。また、試用期間終了時において、勤務態度や能力、技能等が就業に適さないと判断される場合には、本採用を行わない場合がある。
3 試用期間中又は試用期間終了時において、第○条第1項各号に定める解雇事由に該当する場合のほか、下記のいずれかに該当するに至った場合解雇することがある。
(1)本人の責に帰すべき事由により、試用期間中の遅刻が2回に及ぶ場合(ただし、私傷病及びこれに準ずる場合は、情状を酌量する場合がある)
(2)本人の責に帰すべき事由により、試用期間中の欠勤が3日に及ぶ場合(ただし、私傷病及びこれに準ずる場合は、情状を酌量する場合がある)
(3)勤務成績又は業務能率が不良で、採用時の業務において就業に適さないと認められたとき
(4)その他前各号に準する場合と判断される場合
4 試用期間中及び試用期間終了時の解雇は、即時解雇を行う。ただし、最初の勤務日より起算して14日を超えて引き続き雇用されるに至った場合においては、労働基準監督署長より解雇予告除外認定を受けた場合を除き、 平均賃金の30日分の解雇予告手当を支払う。
5 試用期間中の賃金については、賃金規程に定めるところによる。
6 試用期間は、勤続年数に通算する。


検討のポイント



  1. 会社の実情に合わせ、採用時に試用期間を設けるか否かを検討します。

  2. 公序良俗に反しない範囲で、試用期間の長さを検討します。

  3. 試用期間終了後の取り扱い(本採用としない場合の条件)について検討します。

  4. 通常における解雇条件を確認し、試用期間中の解雇条件について追加する必要があるかどうかを検討します。

  5. 試用期間における賃金その他の労働条件について検討し、通常より低い条件とする必要があると考えられる場合には、その理由と内容をよく吟味する必要があります。



関連法令(労働基準法)


−第20条(解雇の予告)

 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも30日前にその予告をしなければならない。30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。
2 前項の予告の日数は、1日について平均賃金を支払つた場合においては、その日数を短縮することができる。
3 前条第2項の規定は、第1項但書の場合にこれを準用する。

−第21条(解雇予告の除外)

 前条の規定は、左の各号の一に該当する労働者については適用しない。但し、第1号に該当する者が1箇月を超えて引き続き使用されるに至つた場合、第2号若しくは第3号に該当する者が所定の期間を超えて引き続き使用されるに至つた場合又は第4号に該当する者が14日を超えて引き続き使用されるに至つた場合においては、この限りでない。
1.日日雇い入れられる者
2.2箇月以内の期間を定めて使用される者
3.季節的業務に4箇月以内の期間を定めて使用される者
4.試の使用期間中の者


参考文献



  • 増補版 労働基準法 上(厚生労働省労働基準局編、労務行政)


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